研究業績

社会情報研究, 1, 37-54 (2020)
【論文】視聴者の流動性を背景とした民放地方テレビ局の役割

著者

橋本 純次

カテゴリ

メディア論 × 放送政策

Abstract

本研究の目的は,人口移動とインターネット利用が常態化した現代社会において,民放地方テレビ局(以下,地方局)がいかなる役割を果たしているか検証することにある。20名へのインデプスインタビュー調査とM-GTAによる結果の分析から,地方メディアの利用者は,自らに近い,親しみのある,実際の行動に繋がる情報を求める傾向にあり,その情報が,自身との距離の近い地方局をはじめとする地方メディアとの間に「需給のループ」を生んでいる場合,その感覚は内在化され,大都市への移動後にも地方に関する情報を得ようとすることが明らかになった。一方で,地方メディアとの間で需給の乖離を経験し,あるいは放送対象地域内で情報の格差を認識している場合には,そういった感覚は構築されず,移動後に地方情報へのアクセスは行われない。以上の状況を前提として,視聴者の流動化状況において地方局が今後どうあるべきか,提言する。
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