ティーチング・ポートフォリオ

指導できる研究テーマ

研究指導の方針

基本方針

  • 専門職学位課程における研究指導の目的は、「学術研究の成果として優れたものを作成する」ことではなく、「研究のプロセス全体を通じて『理論と実践の融合』のための思想と技術を修得する」ことにあります。わたしが社会構想大学院大学で実践する研究指導も「最終的な成果物ができればそれでよい」という考え方はとらず、あくまでも「過程にこそ価値がある」という前提のもと実施しています。
  • そのなかでもわたし自身は、研究プロセスの全体を通じて「人間の認知的多様性を実感する(また,自分の中に多様な視点をビルトインする)」ことに取り組んでほしいと考えています。社会人学生の場合、長年の実務経験のなかで不可避的に視野が狭まってしまうため、研究内容に関する他者とのコミュニケーションやインタビュー調査などの質的方法を通じて、そうした状況を回復していただくことを強くお勧めします。そのための場と技術はわたしが提供できます。
  • わたしもリスク・コミュニケーションの勉強をしているので、「できること」と「できないこと」を自ら開示して学生との信頼関係を構築することが大切だと考えています。研究指導においてわたしができることは「論文としてのおもしろさ(新規性/有効性/信頼性)の判断」、「論理性の判断」、「研究方法/調査結果解釈のアドバイス」、「目を通すべき文献の提示」、「進むべき方向に関する選択肢の提示」です。一方で、わたしができないことは「研究テーマの提供」、「進むべき方向性の決定」、「日本語の修正(論文としての体裁の整備を除く)」です。こればかりは学生が自ら取り組むことが必要です。


具体的な指導方法

  • わたしの研究指導は、① 2週間に1回の授業(コミュニケーションデザイン演習)、② 不定期のサブゼミ、③ 任意の時間に設定する個別指導の3種類の方法により行います。
  • ①について、わたしの演習を履修する学生は「(研究に関連する)他者の意見を聞きたいテーマ」を持ち寄り、ひたすら当該テーマについて対話を行います。これにより学生は「どんなテーマの設定の仕方であれば他者の意見を引き出しやすいのか」といった観点から質問力を身につけるとともに、人間の意見とその前提となる思考プロセスの多様性に触れることになります。
  • 修士論文の作成には、授業外における②や③の機会で取り組んでいただきます。②については、毎週1回程度わたしがオンラインで接続している時間を設けますので、そちらで研究の進捗や悩んでいることについてご相談いただけます。最終提出が近づいた時期にはほぼ毎日サブゼミの時間を確保しますので、任意でご活用ください。③は読んで字のごとくですが、わたしの空き時間はすべての演習履修者に共有されますので、システムを通じて自由に研究相談の時間を予約してください。
  • 例年、学生はサブゼミや個別指導の時間を使えば使うほどクオリティの高い(自身で納得のいく)修士論文を完成させる傾向にあります。業務のご状況をふまえつつ、まずはお手元で①〜③のすべてを活用する研究スケジュールを立てていただくことをお勧めします。もちろん研究スケジュールの設定に関するご相談もお気軽にお申しつけください。


研究指導実績(専門職学位課程)

2024年度修了

(主査)

  • グリーフケアとしての「死者の再生」とその社会的受容に関する一考察
  • 実践共同体としての「経済誌の読者コミュニティ」を通じたキャリアの形成と共助の可能性
  • 多メディア社会における民放地方ラジオ局の立ち位置 −在名ラジオ局の出稿者・聴取者の質的分析を通じて−
  • 地方自治体職員の心理的安全性の確保と市民との信頼関係構築 −災害発生時に備えたコミュニケーション−

(副査)

  • あきる野市における不登校生に適した物理的およびバーチャル環境の要件に関する研究
  • 健診機関におけるクライシスをめぐるコミュニケーションの考察 −広報の役割を中心に−
  • 社会関係資本の視点から考える人的資本経営 −ラーニング・コミュニティが社会関係資本として機能する−

2023年度修了

(主査)

  • 研究者と産学連携担当者(産業界)の関係構築のあり方 −対話概念を端緒として−
  • 公共空間としての都市公園の公共性と公園管理者の仕事に対する姿勢のあり方に関する考察
  • 航空業界におけるネガティブ・ケイパビリティの涵養 −リスクをめぐるミニ・パブリックスの活用−
  • 小中学生を物理好きに導く「サイエンス・コミュニケーションのツボ」 −物理系理工系女子が増える未来−
  • 地方新聞社による水道問題の社会課題化はいかなる条件のもと可能か
  • 地方都市住民のメディア利用の現状と地域アイデンティティ形成の関係について −新潟市における実態調査を手がかりに−
  • 不確実な社会におけるヘルスリテラシーのあり方
  • 「マスメディアの社会的機能」の持続可能性をいかに担保するか −新たな「情報・コミュニケーション」のエコシステムの再定義・再構築に向けた、メディア経営、社会実装のあり方についての一考察−

(副査)

  • 社会構造変容時代における寺院経営の課題解決に対する考察と提言 −アンゾフの成長マトリクスを元にした檀家寺の新たな展開−

2022年度修了

(主査)

  • 生活者の共感を得る広報活動に関する考察 −通信事業者の3年間の取り組み事例から読み解く−
  • 「地域密着型宿泊施設」を起点としたコミュニティデザイン
  • 働く女性が生活時間に求める娯楽と接触プロセス −テレビドラマの視聴行動を中心として−
  • PR・広報担当者に必要なケイパビリティの検討 −「送り手のメディア・リテラシー」の概念から−

(副査)

  • 動物園のパブリック・リレーションズにおける広報機能の重要性 −存在意義の乖離を埋めるコミュニケーション戦略とは−

2021年度修了

(主査)

  • 企業におけるリスク・コミュニケーションの在り方について −リスク認知と共考を中心に−
  • 化粧品業界におけるバーチャルメイクの現状と課題 −利用実態調査に基づく普及に向けた提言−
  • 自治体のデジタルトランスフォーメーションの導入による変革過程の研究 −福島県磐梯町の分析を通じて−
  • 食品企業におけるサイエンスコミュニケーションの活用 −企業ブランド価値向上の視点から−
  • 人生会議ポスターは本当に失敗だったのか −パブリックヘルスコミュニケーションにおけるユーモア表現の受容性−
  • 私たちはなぜ「顔」を求めるのか −感情に覆われる情報社会のSNS広報と雑誌制作の現場から−

2020年度修了

(主査)

  • 新聞社に信頼をもたらすコーポレート・コミュニケーションのあり方 −アクセス・ポイントの視点から−
  • 多文化共生社会におけるコミュニケーション人材向け学習プログラムの開発と実践
  • 夜帯ニュース番組の視聴年代構成の"若返り"を図る視聴者ニーズの把握と提供すべき情報ベネフィットに関する考察

(副査)

  • 公共的なイシューに関わるコミュニケーションのあり方の研究 −近視眼的コミュニケーションの克服に向けて−